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仙台高等裁判所 昭和58年(行コ)5号 判決

控訴人(原告) 五十嵐孝吉 外九名

被控訴人(被告) 岩手県知事

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は、控訴人らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

原判決を取り消す。

本件を盛岡地方裁判所へ差し戻す。

二  控訴の趣旨に対する答弁

本件控訴を棄却する。

第二当事者の主張及び証拠関係<〈省略〉

理由

一  当裁判所も控訴人らの本件訴えはいずれも訴えの利益を欠き不適法であると判断するものであるが、その理由は左記のほかは原判決理由説示のとおりであるからこれをここに引用する。

1  原判決一三枚目表末尾から二行目の「いわざるをえないが」の次に「(最高裁昭和四一年二月二三日大法廷判決・民集二〇巻二号二七一頁、同昭和五七年四月二二日第一小法廷判決・民集三六巻四号七〇五頁参照)」を加入する。

2  同一四枚目表二行目の末尾に「(最高裁昭和三三年七月二五日第二小法廷判決・民集一二巻一二号一八四七頁、同五七年(行ツ)第一二八号同六〇年一二月一七日第三小法廷判決・民集三九巻八号登載予定、同昭和五九年(行ツ)第三一八号同六一年二月一三日第一小法廷判決参照)」を加入する。

3  同一五枚目裏五行目の末尾に左記を加入する。

「(なお付言するに、本件緑道の設置により、控訴人らがその各所有土地につき従前具備していた建築基準法四三条所定のいわゆる接道義務に欠ける結果となるとの点については何らこれを認めるに足りる証拠はないから、右緑道の設置による建物建築についての土地所有権の行使について何ら支障は生じないというべく、また本件緑道の設置により控訴人らの各所有土地についての車両の出入が全く不可能となるとの点についてもこれを認めるに足る的確な証拠はなく(なお道路交通法八条二項、一七条一項但書参照)、更に道路中車道部分の幅員の拡張又は縮少自体によつて右道路周辺に土地を所有する者あるいは車両等を運転したり歩行することにより右道路を利用する者の受ける便利・不便の問題はいわゆる反射的あるいは一般的ないし期待上の利益・不利益の問題というべく、いずれにしても本件緑道の設置は控訴人らに対し法律上保護された利益を侵害するものとはいえないというべきである。)」

二  そうすると原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、行訴法七条、民訴法三八四条、九五条、八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 佐藤幸太郎 岩井康倶 西村則夫)

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